並行輸入品は、正規代理店を通さずに海外から国内へ入ってくる商品です。
安く仕入れられる一方で「偽物ではないか」という疑いがつきまとい、真贋調査を恐れて手を出せずにいる人も少なくないでしょう。
この記事では、並行輸入品と偽物を分ける線引きから、仕入れ前のチェック、出品時のルール、トラブル時の動き方までを順に確認していきます。

並行輸入品は、正規代理店を通さずに海外から国内へ入ってくる商品です。
安く仕入れられる一方で「偽物ではないか」という疑いがつきまとい、真贋調査を恐れて手を出せずにいる人も少なくないでしょう。
この記事では、並行輸入品と偽物を分ける線引きから、仕入れ前のチェック、出品時のルール、トラブル時の動き方までを順に確認していきます。


並行輸入品という言葉は、物販の現場で毎日のように飛び交っています。
まずは言葉の定義と、法律上どんな扱いを受けている商品なのかを押さえておきましょう。

並行輸入品とは、メーカーが認めた正規輸入代理店を通さず、第三者が海外から仕入れて日本で販売する商品のことです。
並行輸入品やリユース品を扱う事業者でつくる業界団体、日本流通自主管理協会(AACD)も「正規代理店ルートとは別のルートで真正品を輸入すること」と定めています。
この説明にある「真正品」とは本物のことで、言葉の意味としてはじめから本物であることが織り込まれているわけです。Amazonの規約でも「正規輸入代理店以外のルートで国内に輸入された商品」と定められました。
では、その別ルートとは具体的にどこを指すのでしょうか。主なものは、次の3つになります。
いずれのルートでも、作っているのはブランド本体であり、正規品と同じ工場から出荷された商品です。
正規品と並行輸入品を分けているのは、誰が日本へ運んだかという一点に尽きます。
参考:AACD公式:「並行輸入とは」
参考:Amazon公式:「並行輸入品」

並行輸入品そのものが偽物ではないという扱いは、最高裁の判決によってすでに確立されています。
根拠になっているのは、フレッドペリー事件と呼ばれる平成15年2月27日の最高裁判決です。
特許庁はこの判決をもとに、真正商品の並行輸入と認められる条件を3つ示しました。
3つを満たしていれば、商標権の侵害にはあたりません。税関でも同じ扱いで、真正商品の並行輸入は侵害物品として取り締まらないと定められています。
半世紀以上にわたって積み上がってきた運用ですから、並行輸入という仕入れ方そのものを不安に思う必要はないでしょう。
参考:特許庁公式:「Q2. 商標権にかかる並行輸入」
参考:裁判所公式:「平成14(受)1100 損害賠償、商標権侵害差止等請求事件 判決文」

並行輸入品が合法だとしても、ブランドせどりで扱うとなれば、正規品にはない負担を引き受けることになります。
理由は、ブランド品が購入者の真贋への感度がもっとも高いジャンルだからです。
同じ並行輸入品でも、家電や日用品なら誰も気にしないことが、バッグや腕時計では必ず確認されます。具体的には、次の3つが重くのしかかってきます。
なかでも影響が大きいのが、3つ目の保証です。「本物なのに保証がない」という状態は、ブランド品ではそのまま偽物の疑いに直結します。
正規店なら店員が口頭で説明していた部分を、商品ページの文章だけで代わりに担うことになるからです。さらに販路によっては、ファッション系のカテゴリーそのものに出品制限がかかっている場合もあります。
安く仕入れられる代わりに、商品の説明と保証を自分で背負う商材だと考えておきましょう。

並行輸入品が偽物と疑われる背景には、性質の違う理由がいくつも積み重なっています。
ひとつずつほどいていけば、警戒すべき部分と気にしなくてよい部分が分かれてきます。

並行輸入品は偽物だという話がネット上に大量に出回っていることが、この疑いの出発点になっています。
知恵袋やSNSには「並行輸入品を買ったら偽物だった」という体験談が繰り返し流れてきました。
その多くは並行輸入品を名乗った詐欺サイトでの被害なのですが、読む側には両者の区別がつきません。もうひとつ、ブランド買取の現場の事情も重なっています。
保証書や購入証明が揃わない並行輸入品は査定額が下がりやすいため、買取店は長年にわたって「並行輸入品には注意が必要」と伝え続けてきました。買う側にとっては正しい注意喚起ですが、売る側から見ると過剰な警戒として跳ね返ってきます。
セラーが情報環境そのものに振り回される必要はありませんが、購入者はこのイメージを持ったまま商品ページを開いていると考えてください。

正規品と並行輸入品の価格差があまりに大きく開いていることが、購入者の警戒心をまっすぐ呼び込みます。
並行輸入品が安くなる理由は、次の3つです。
ここに円高が重なると、仕入れ原価はさらに下がっていきます。問題は、なかにはあまりに価格差が開いた商品が混ざっていることでしょう。
国民生活センターは「価格が通常より安い」ことを詐欺サイトの見分け方に挙げていますが、AACDは価格の高低だけで判断するのは危険だとしています。両者を並べると、値引き幅そのものより「その幅を説明できるかどうか」が判断軸になると分かります。
3〜4割引きは並行輸入では普通のレンジであり、恐れる必要はありません。
安い理由を商品説明に1行添えておくだけで、疑いの多くは先回りして潰せます。
参考:国民生活センター公式:「模倣品に関するトラブルにご注意!」

偽物を「並行輸入品」と称して売っている店は、警戒すべき噂話ではなく実際に存在します。
仕入れルートを明かさないのが並行輸入の慣習であり、保証書がなくても不自然には見えません。
この「説明しなくても通ってしまう」性質が、悪質な業者に都合よく使われてきました。実際の摘発規模も、決して小さくはないでしょう。
告発事例では、バッグ35点を中国から密輸入しようとした2名が関税法違反で告発されました。数量が少なくても刑事事件になるということです。
「並行輸入品」という表記は、本物であることの証明には一切なりません。
参考:財務省公式:「令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」

同じブランドの同じモデルでも、日本の正規店に並ぶ品とタグや刻印が違っていることがあります。
購入者はこの違いに気づいた瞬間、偽物ではないかと疑い始めます。
現場でよく起きるのは、次の2つでしょう。
ただしAACDは、ロットや製造時期、生産国の違いによって差異が出るのは珍しくないとしています。差があるというだけで偽物と判断するのは適切ではない、とも明言しました。
Amazonのセラーフォーラムには、仕様変更を知らない購入者から偽物だと言われ、ブランド公式のURLを送っても納得してもらえなかったという投稿が残っています。
恐れすぎる必要はありませんが、差異を説明できる材料を持っていないと購入者との押し問答になります。
参考:AACD公式:「よくある質問」

国内メーカー保証が対象外になることが、「本物なら保証されるはずだ」という疑いに姿を変えていきます。
腕時計やカメラのように、正規店でのメンテナンスが前提になる商材ほど、この点は重く受け止められるでしょう。
やっかいなのは、並行輸入品の修理受付そのものを断るブランドがあることです。断られた購入者は「偽物だから断られた」と受け取ってしまいます。
実際には流通ルートを理由にした線引きにすぎず、真贋とは関係がありません。ブランドの窓口は自社商品を長く使ってもらうための場所であって、真贋を判定する場所ではないのです。
修理やメンテナンスが前提の高単価商材を扱うなら、保証の代わりに自社で何をするのかを書けるかどうかが分かれ目になります。

その商品がどこを通って届いたのかを誰も説明できないという構造こそが、並行輸入品につきまとう不安の正体です。
正規品はメーカーから日本法人、代理店、小売店という決まった道筋を通ります。
一方の並行輸入は、海外の小売から買付業者、輸出代行、国内の卸と、間に何社入っているのか最後まで見えません。この不透明さは、税関のデータにもはっきり表れています。
差し止められた荷物のうち86.5%にあたる27,459件が国際郵便で届いたもので、コンテナなどの一般貨物は4,301件にとどまりました。まとまった量を正規に輸入する業者は、通関業者を通した一般貨物で運びます。
差止めの9割近くが郵便物という偏りは、個人宛の小口配送に偽物が集中していることを示しているのです。
ここは本気で警戒すべき部分ですが、仕入先の書類を残すだけで解消できる項目でもあります。
▼メルカリの並行輸入品に関しては、こちらの記事もチェック!▼

仕入れ前の段階で偽物かどうかを断定することは、残念ながら誰にもできません。
そのかわり、危ない仕入れ先をふるい落とす方法なら用意できますので、順に確認していきましょう。

相場より極端に安い価格を見つけたら、その安さがどこから来ているのかを自分で説明できるか確かめてください。
並行輸入で価格が下がるのは、中間コストや為替、現地セールといった説明のつく要因があるときだけです。
どれにも当てはまらないのに国内相場の半値以下なら、その差額はどこかで無理をして生まれたものでしょう。AACDも、人気モデルが市場価格よりかなり安く売られていないかを判断材料に挙げています。
では、どのくらいの値引きから警戒すべきなのでしょうか。実務上の目安は、次のように整理できます。
判断に迷ったら、仕入れ先に「なぜこの価格なのか」と直接聞いてしまうのが早道です。現地セールの時期やロットを具体的に答えられる相手なら、実際にその商品を扱っている可能性は高くなります。
安さの根拠を相手の口から引き出せるかどうかが、最初のふるいになります。

仕入れ先が法人として実在しているかどうかは、商品の真贋よりも先に確認しておくべき項目です。
Amazonは請求書の審査基準として、仕入先に検証可能なウェブプレゼンスがあることを求めました。
トラブルになったときに仕入先を実在企業として示せなければ、書類を出しても通らないからです。確認する項目は、次の4つになります。
このうち複数が欠けている相手は、真贋調査の場で「この会社から買いました」と示す相手そのものが存在しないことになります。
実在を確認できない仕入れ先は、商品が本物であっても取引先としては使えないと割り切ってください。
参考:Amazon公式:「ポリシー違反の申し立てに関する請求書の要件」

国際郵便で小口に分けて送られてくるルートは、税関がもっとも警戒している経路と重なります。
差し止められた荷物がどこから送られてきたのかを見ると、偏りははっきりしています。
もちろん、中国から国際郵便で届いたものがすべて偽物というわけではありません。小ロットのテスト仕入れであれば、この形が自然なこともあるでしょう。
見るべきは、数量に対して発送形態が不自然かどうかです。50点まとめて発注したのに10個の小包へ別々の差出人から届くようなら、途中で誰かが荷物を組み替えていることになります。
発注量と届き方が噛み合わない取引は、一度止めて確認したほうが安全です。

仕入れ候補のサイトを開いたら、商品ページより先にURLを確認する癖をつけてください。
詐欺サイトの多くは、本物のブランドサイトによく似たドメインを使っているからです。
国民生活センターは、URLがブランドの正式な英語表記とわずかに違うことを危険信号の筆頭に挙げました。たとえば小文字のl(エル)とI(アイ)を入れ替える、単語の間にハイフンを差し込む、末尾に「-japan」や「-jp」を足すといった手口が典型です。
見た目はほとんど同じでも、ブランドとはまったく無関係の別サイトになります。もうひとつ有効なのが、会社概要に書かれた住所と代表者名をそのまま検索してみることでしょう。
同じ会社情報を掲げたサイトが何件も出てくるなら、ひとつのテンプレートから量産された詐欺サイト群だと判断できます。
URLと会社情報という2か所を見るだけで、危ないサイトの大半は入口でふるい落とせます。
参考:国民生活センター公式:「模倣品に関するトラブルにご注意!」

特定商取引法に基づく表記が見当たらない通販サイトは、仕入れ先の候補から外して構いません。
国内で通信販売を行う事業者には、事業者名や住所、電話番号、代表者名、返品条件を表示する義務があるからです。
載せていないということは、義務を守っていないか日本の事業者ではないかのどちらかでしょう。もっとも、海外サイトから直接仕入れる場合はこの表記自体が存在しません。
その場合は、代わりに次の情報が揃っているかを見てください。
国民生活センターも、フリーメールのみの連絡先や返品ルールの欠如を注意点に挙げています。
返品ルールが明示されていない相手から仕入れると、偽物が届いたときに交渉の土俵すら用意されていない状態に陥ります。

支払い方法が銀行振込だけに絞られている取引は、偽物が届いたときの回収手段を自分から手放すことになります。
国民生活センターは、カード決済が使えると表示されていても後から振込を指定される場合があると注意を促しました。
サイト上の表示ではなく、実際の決済画面で何が選べるかを確認してください。カード決済が使えることの意味は、決して小さくありません。
AACDによると、海外から届いた商品が明らかな偽造品だった場合、カード会社によっては相談に応じてもらえることがあります。逆に振込で送金してしまえば、100万円の発注が飛んでも残る手段は相手との直接交渉だけです。
仕入れ額が大きくなるほど、決済手段の選び方がそのまま損失の上限を決めることになります。
参考:AACD公式:「消費者Q&Aセンター」

発注前にシリアルナンバーの実物画像を出してもらえるかどうかは、相手が現物を持っているかを測る物差しになります。
カタログ写真だけを載せ、受注してから調達する業者は少なくありません。
その調達先が管理されていなければ、届く商品と写真の商品が別物になってしまいます。物販講師のコラムでも、掲載画像は本物でも送られてくる商品は偽物というケースが指摘されていました。
この習慣は、販売側の防御にもつながります。メルカリはシリアルナンバーの写真掲載がない商品を削除対象に挙げているからです。
仕入れ時に個体ごとの画像を残しておけば、出品にも購入者への回答にもそのまま使えます。
参考:メルカリ公式:「偽ブランド品、正規品と確証のないもの」

届いた商品のロゴ部分に後付けの加工が入っていたら、それは税関の検査をすり抜けるための細工だと考えてください。
財務省の資料には、差止めを回避するための工作事例が具体的に載っています。
いずれも、目視検査を通すためにロゴを一時的に隠す手口です。これが施された商品が届いたなら、送り主は権利侵害を自覚していたことになります。
検品ではロゴやタグの周辺に不自然な糊跡や縫い目がないかを見てください。保管中にシールが浮いてくることもあるため、出荷前にもう一度確認しておくと安心でしょう。
真贋を判断する以前の問題として、こうした荷物を送ってくる相手とは取引を続けるべきではありません。
参考:財務省公式:「令和7年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」

国内の卸から仕入れるなら、その会社がAACDの会員企業に入っているかどうかが有力な判断材料になります。
会員企業は、協会の定める「基準内商品」だけを扱うルールに縛られているからです。
協会は会員に対して強制力を持っており、基本方針も「疑わしきは扱わず」で統一されています。基準内か外か判定できないときは扱わない、という運用が徹底されているのです。
トラブルが起きた場合も、会員企業であれば協会が間に入って解決を図ってくれるでしょう。ただし、会員でないのに会員を名乗る悪質なサイトも確認されています。
仕入れ先が名乗っていたら、公式サイトの会員一覧で必ず照合してください。
参考:AACD公式:「よくある質問」

発注前に請求書を発行してもらえるかを聞いておくことが、10のチェックのなかでもっとも効果の大きい一手です。
目的は偽物を避けること自体ではなく、疑われたときに反論できる状態をあらかじめ作っておくことにあります。
Amazonは真贋の申し立てに際して仕入先発行の請求書を求めており、これを出せない相手からの仕入れは、はじめから武器を持たずに戦うのと変わりません。
セラーフォーラムには、サプライヤーの担当者が長期休暇で仕入れ証明が取れず、最終的に自ら「偽物です」と申告するボタンを押したという投稿が残っています。本物を扱っていたにもかかわらず、書類が間に合わなかったという事例です。
商品が本物でも書類が揃わなければ結果は変わらないため、請求書を出せない相手は最初から候補に入れないでください。
▼バイマの偽物対策に関しては、こちらの記事もチェック!▼
その価格が本当に安すぎるのかを見極めたいなら、無料のリサーチツール「モノトレーサー」がおすすめです。
バリエーション別のデータやセラー別のカート取得率、月間販売個数チャートまで、Amazonの相場をまとめて確認できます。
仕入れ前に適正価格を押さえて判断の精度を上げたいなら、ぜひチェックしてみてください。

商品が手元に届いてしまったあとでも、確認する手段はいくつか残されています。
ただし、それぞれ答えられる範囲と限界がはっきり分かれているのです。

手元の商品が本物かどうかをはっきりさせたいなら、まずブランド本社の窓口へ問い合わせるのが筋になります。
その商品を作ったブランド以外に、真贋を断言できる立場の相手はいないからです。
AACDも、判断できるのは商標権を持つブランド側だけであり協会は行わないと明言しました。買取店も鑑定会社もフリマアプリの運営会社も、この一線だけは越えられません。
ただし実務では、真贋判定を受け付けていないブランドがほとんどです。判定基準を外部に出すと、偽造業者に情報が渡ってしまうからでしょう。
そこで現実的な使い方は、仕様変更の有無を聞く問い合わせに絞ることになります。「この型番の刻印位置は何年から変わりましたか」という質問であれば、カスタマーサポートが答えてくれることもあるはずです。
真贋そのものではなく、仕様の違いを説明する材料を取りにいく窓口として使うのが現実的です。

AACDの協会判定は商品を送るだけで無料で受けられますが、本物か偽物かを判定してくれるわけではありません。
判定してくれるのは、協会が定める「基準内商品」か「基準外商品」かという区分です。
申し込みは消費者Q&Aセンター(0120-786-470)への電話から始まります。判定そのものは無料でも、往復の配送費用は依頼者の負担になります。
利用する前に、知っておくべき制約が4つあります。
なお、真贋をめぐってすでにトラブルになっている場合には、「ADRブランド110番」でも相談を受け付けています。
書面が出ない以上、真贋調査の証拠には使えず、自分がその仕入れ先を続けるかどうかの判断材料という位置づけになります。
参考:AACD公式:「消費者Q&Aセンター」

メルカリのあんしん鑑定を通すと、鑑定基準をクリアした商品だけが購入者の手元に届く形を作れます。
出品者が利用可能に設定し、購入者が利用するかどうかを選ぶ仕組みです。
鑑定手数料は購入者の負担で、鑑定には到着から1〜3日ほどかかります。金額はカテゴリーによって次のように分かれます。
| カテゴリー | 鑑定手数料(税込) |
|---|---|
| スニーカー | 1,900円 |
| ファッション・小物 | 4,300円 |
| トレーディングカード | 1,700円/枚 |
| 時計 | 12,000円 |
スニーカー・ファッションは10万円以上、トレーディングカードは15万円以上で手数料が無料になります。高単価のブランド品ほど、鑑定コストは相対的に軽くなるということでしょう。
セラーが注意すべきなのは、基準を満たさなかった場合の扱いです。取引は自動でキャンセルされ、商品は着払いで返品されたうえ、返送料は出品者の負担になります。
返送料まで自分に返ってくる以上、自信のないロットを対象にしたまま出すのは避けましょう。
参考:メルカリ公式:「あんしん鑑定サービスの概要」

買取店の査定は真贋の証明ではなく、あくまで市場での通りやすさを測る参考値として受け取ってください。
買取店はブランドの人間ではないため、そもそも「これは本物です」と言ってはいけない立場にあります。
AACDによると、買取を断る理由には偽物の可能性が高いと判断した場合と、汚れや傷、人気の低さで買取に適さないと判断した場合の2つがあります。どちらの理由で断られたのかは、持ち込んだ側には分かりません。
統一された買取基準も業界にはないため、A店で断られた商品がB店では買い取られることも普通に起こります。売る予定のない商品を判定目的で持ち込むのは、店側の負担にもなるので避けたいところです。
買取を断られたという事実だけで、その商品が偽物だと確定することはありません。
参考:AACD公式:「よくある質問」

並行輸入品と正規品では、利益の出方もリスクの出方も違ってきます。
自分の資金量と経験に合うのはどちらなのか、判断材料を並べていきましょう。

仕入れ値だけを取り出して比べれば、並行輸入品には正規品が決して届かない優位があります。
まずは4つの観点で、全体像を並べてみます。
| 観点 | 並行輸入品 | 正規品 |
|---|---|---|
| 仕入れ値 | 代理店マージンが乗らず低い | 卸値が固定され下がりにくい |
| 販売価格 | 相場が崩れやすい | 価格が維持されやすい |
| 保証対応 | 出品者が自前で負担 | メーカー保証が使える |
| 出品リスク | 真贋調査を受けやすい | 請求書が揃いやすい |
この表からわかるのは、並行輸入品の強みが入口の原価に集中しているということです。出口の販売価格とリスク面では、いずれも正規品に軍配が上がります。
原価の差にはさらに為替が乗るため、円高局面では現地価格が同じでも利益率が数ポイント動きます。国内未発売のカラーや廃番モデルを扱えることも、価格競争から抜け出す材料になるでしょう。
原価で勝てることが並行輸入品の最大の武器であり、残る3項目は正規品に譲る前提で設計する必要があります。

販売価格の安定という物差しで見ると、正規品のほうが圧倒的に扱いやすい商材になります。
正規品はメーカーや代理店が流通量を管理しているため、相場が急落しにくい構造です。
一方の並行輸入品は、誰がいくつ持ち込むかを誰も管理していません。海外で大型セールがあると出品が重なり、相場が一気に崩れてしまいます。
相場が不安定なうえに、Amazonの規約は価格の見せ方にも制約を課しました。
安さが武器なのに、安さを訴求する手段が制限されているということになります。
相場の下落と訴求制限の両方を抱える以上、並行輸入品は回転の速さで利益を作る商材だと割り切りましょう。
参考:Amazon公式:「並行輸入品」

保証対応の手間は並行輸入品のほうが重く、しかも利益計算から抜け落ちやすいコストになります。
初期不良の交換も、使い方の問い合わせも、修理先の案内も、すべて自分の作業時間として積み上がっていくからです。
とくに負担が大きくなりやすいのは、次のような商材でしょう。
数字にしてみると、重さがはっきりします。月に100個売る商材で問い合わせ率が5%なら、毎月5件の個別対応が発生する計算です。
1件あたり30分かかれば、月に2時間半が利益から差し引かれることになります。
問い合わせ1件あたりの対応時間を時給に換算してから、正規品と比べてください。

資金が少ないうちは、取引口座の要らない並行輸入品のほうが入口として現実的です。
正規品を安定して仕入れるには、メーカーや代理店との取引口座が欠かせません。
開設には法人格や実店舗、年間取引額といった条件が課されます。その点、並行輸入なら海外の小売やアウトレットから数点単位で始められるでしょう。
ただし、少額から始められることとリスクが小さいことは別の話です。税関の告発事例では、バッグ35点や人形10点といった規模でも関税法違反として告発されました。
数量が少なければ見逃されるという考え方は、通用しません。
低単価の商材で請求書の出る仕入れ先を1社育ててから単価を上げるのが、もっとも失敗しにくい順序になります。
▼アパレルブランドせどりに関しては、こちらの記事もチェック!▼

どの販路でいくら残るのかを比べるなら、完全無料の「クイックショップ」が頼りになります。
複数モールを横断してライバルの在庫数や各種手数料、最終的な入金額までを一覧画面に一括表示してくれます。
利益の出る販路を数字で選び抜きたいなら、ぜひ導入してみてください。

並行輸入品の仕入れルートは、大きく5つに整理できます。
安全性の高さと手間の大きさがほぼ比例して並んでいるので、自分の状況に合うものを選びましょう。

海外の正規販売店から自分で直接買うルートは、確実性という点でほかのどれよりも勝ります。
ブランドの直営オンラインストアや公式認定リテーラーから購入すれば、間に誰も入りません。
購入時に発行される領収書やオーダー確認メールが、そのまま仕入れの証拠として残ります。決済にクレジットカードを使い、明細もあわせて保管しておけば、証拠は二重になるでしょう。
その代わり、弱点は量が確保しにくいことです。
量が稼げないぶん、1点あたりの利益額が大きい商材に絞って使うルートになります。

国内で量を確保したいなら、AACD会員の卸から仕入れるのが現実的な落としどころになります。
会員企業は協会の基準内商品だけを扱うルールに縛られており、問題が起きたときも協会が強制力を持って解決にあたります。
実務上ありがたいのは、国内法人からの仕入れになるぶん請求書の要件も満たしやすくなる点でしょう。日本語で法人名や住所、電話番号、型番、数量が入った請求書は、Amazonの審査でも通りやすい書式です。
注意点は、会員を装う業者が確認されていることになります。
日本語の請求書がそのまま証拠として使えるという点だけでも、海外との直取引より事務負担は軽くなります。
参考:AACD公式:「よくある質問」

自分で現地へ飛んで買い付けるハンドキャリーは、真贋の面では文句のつけようがない方法です。
自分の目で店舗を見て自分の手で受け取るため、途中ですり替わる余地がまったくありません。
その代わり、コストは重くのしかかってきます。
このうち見落とされやすいのが税金です。免税範囲内で持ち込んで販売するのは後々の税務リスクになるため、避けてください。
実際に使われているのは、香港やソウルなど航空券が安い近距離の都市への買い付けになります。
渡航費を利益で吸収できる単価と、回数を重ねられる距離が揃ったときにだけ成立するルートだと言えます。

メーカーと直接取引の口座を開ければ、仕入れの安定性も真贋調査への耐性も一段上がります。
仕入先が明確な法人になり、継続的な取引履歴も残るからです。
その代わり、口座を開くまでの準備は簡単ではありません。求められるのは、次のような資料と条件交渉です。
最低発注額が数千ドル単位のことも多く、初回のハードルは決して低くありません。それでも一度通れば価格が安定し、在庫の確保も計画的に行えるようになります。
初回のハードルは高いものの、事業として並行輸入を続けるならいずれ通ることになる道です。

買付代行を使うなら、請求書の発行を契約時点の条件として先に握っておいてください。
現地に行かずに複数店舗からまとめて仕入れられるのが最大の利点ですが、どの店で買ったのかが自分からは見えません。
この見えない部分を埋めるのが、書類の取り決めです。依頼時に確認しておきたいのは、次の4点になります。
セラーフォーラムにも、正規販売店から購入した領収や代理店であることの証明を画像でもらっておくべき、という助言が寄せられていました。
トラブルが起きてから頼んでも間に合わないため、書類の取り決めは取引開始前に済ませておきましょう。
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並行輸入品には、通常商品とは別の出品ルールが用意されています。
守らずに出すと商品ページごと削除されることもあるので、販路ごとに確認していきましょう。

Amazonに並行輸入品を出品するには、販売形態の項目に「JP Parallel Import」を指定する必要があります。
設定すると商品名の末尾に[並行輸入品]が自動で付き、通常商品とは別のASINが作成される仕組みです。
カテゴリー別在庫ファイルでの項目名は distribution_designation になります。登録時の注意点は、次の4つです。
記載内容にもルールがあります。商品説明には商品に関する内容だけを書き、保証などの独自情報と並行輸入品となる理由はコンディション説明に記載してください。
正しく出品されていない商品をAmazonは削除できるため、登録は在庫ファイルの段階から手順どおり進めましょう。
参考:Amazon公式:「並行輸入品」

Amazonのシューズ&バッグでは、並行輸入品の出品そのものが禁止されています。
個人輸入代行やそれに類似する形態での出品も、あわせて禁止の対象です。
ブランドせどりで真っ先に候補に挙がるカテゴリーが、Amazonでは丸ごと使えないということになります。制限がかかっているのは、ここだけではありません。
| カテゴリー | 並行輸入品の扱い |
|---|---|
| シューズ&バッグ | 出品禁止 |
| 服&ファッション小物 | 一部の並行輸入品が出品禁止 |
| 腕時計 | 一部の並行輸入品が出品禁止 |
| ジュエリー | 一部の並行輸入品が出品禁止 |
| ビューティー | 一部の並行輸入品が出品禁止 |
| ベビー&マタニティ | 事前審査が必要 |
ファッション系の主要カテゴリーが、ほぼすべて何らかの制限下に置かれていると分かります。
制限が集中している領域なので、仕入れる前にカテゴリーの可否を確認しないと在庫が動かせなくなります。
参考:Amazon公式:「並行輸入品」

メルカリでは、購入経路が不明確な商品が「正規品と確証のないもの」として削除の対象になります。
シリアルナンバーの写真掲載がない場合も、同じく削除の対象です。
事務局が正規品と確証がないと判断すれば、取引キャンセルや商品削除に加えて退会処分もあり得ます。罰則の重さも、規約にはっきり書かれていました。
偽物の販売や譲渡は商標法や意匠法に違反する行為であり、懲役10年以下、罰金1,000万円以下の刑罰が科される可能性があります。「パロディ」「偽物」と書いたとしても、法律で禁止されている点は変わりません。
仕入れ元を1行書いてシリアルナンバーの画像を添えるという2点を習慣にするだけで、削除リスクは大きく下がります。
参考:メルカリ公式:「偽ブランド品、正規品と確証のないもの」

並行輸入品の保証とアフターサービスは出品者が引き受けるものとして規約に定められています。
Amazonは連絡先の明記に加えて、付属品の有無や日本仕様との違いの記載も求めました。
法令の遵守も出品者の責任であり、家庭用品品質表示法や電気用品安全法は並行輸入品であっても適用されます。これらをふまえると、商品ページに書いておく項目は次の4つに整理できます。
疑われてから説明するより、疑われる前に商品ページへ書いておくほうがはるかに効きます。
参考:Amazon公式:「並行輸入品」
アカウントが停止されてしまったときの突破口になるのが、「アマゾンアカウント再開事例集」です。
実際に復活まで漕ぎ着けたセラーの申し立て内容と、Amazonに受け入れられた改善計画の書き方をそのまま確認できます。
止まった売上をもう一度動かしたいなら、ぜひ手元に置いてみてください。

真贋調査や税関の認定手続は、並行輸入品を扱う以上いつかは通る可能性のある道です。
起きてから動くのと備えてから迎えるのとでは、結果がまるで変わってきます。

真贋調査で最初に求められるのは、パフォーマンス通知の受領前365日以内に発行された請求書です。
期限だけでなく、数量の条件も付いています。
対象ASINの販売数量と手持ち在庫をカバーする数量が必要なので、10個売った商品について3個分の請求書を出しても通りません。書き込まれていなければならない項目も、細かく決まっています。
仕入先については、第三者の情報源で検証できるウェブプレゼンスも求められました。
仕入れのたびにPDFで保存してASINと紐づけておけば、通知が届いたその日から動き出せます。
参考:Amazon公式:「ポリシー違反の申し立てに関する請求書の要件」

Excelで作られた請求書は、内容がどれだけ正しくても審査の対象外になります。
編集できる形式は、改ざんの余地があると判断されるからです。
同じ理由で通らない書類は、ほかにもあります。
提出できるのは、PDFまたはjpg・png・gifの画像だけです。小規模なサプライヤーからExcelで届くことは珍しくないので、PDFでの再発行を依頼してください。
自社発行が不可という点も見落とされがちで、輸入代行会社を自分で設立して請求書を出す形にすると同一事業体と判断されます。
形式を満たさない書類は何度出しても通らないため、提出前に必ずこのリストと突き合わせておきましょう。

税関から「認定手続開始通知書」が届いたら、期限内に意見書と証拠を提出することが唯一の対抗手段になります。
認定手続とは、税関検査で見つかった物品が本当に侵害物品にあたるかを認定する手続きです。
通知書には、証拠を提出し意見を述べられる期限が記載されています。適法な並行輸入品だと主張する場合、立証すべきは次の3点になります。
意見書は任意の書式で構いませんが、作成日、氏名とふりがな、住所、電話番号、職業、開始通知書番号、商品名と個数、そして侵害しない理由を日本語で記載します。外国語の書類には、日本語訳を添えてください。
没収されるまでは廃棄や積戻しといった自発的処理も選べるため、期限と選択肢の両方を早めに把握しておきましょう。
参考:税関公式:「認定手続開始通知書(輸入者用)を受け取った方へ」

税関の手続で黙っていることは、意見書を出して却下されるよりもはるかに不利に働きます。
税関は、意見書や証拠を提出しなかった事実を、輸入者にとって不利な事実として考慮すると明示しました。
その結果、侵害物品に該当すると認定される可能性が高まっていきます。数量が少ないから見逃されるだろう、という判断も通用しません。
税関は侵害疑義物品が1個の場合でも輸入者から事情を聴取する必要があるとしており、数量の多寡にかかわらず認定手続は行われます。さらに2022年10月1日以降は、個人使用目的であっても海外事業者から送られた模倣品は没収の対象になりました。
改正前のように、個人使用だと主張して受け取ることはできません。
意見書を出しても必ず通るとは限りませんが、出さなければ確実に不利になると覚えておいてください。
参考:特許庁公式:「海外からの模倣品流入への規制強化について」
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並行輸入品と偽物をめぐっては、同じ疑問が繰り返し寄せられています。
判断に迷いやすい6つの質問について、順番に答えていきましょう。

A: 偽物ではありません。
並行輸入品は、正規代理店を通さずに輸入された真正品を指します。特許庁は、商標が適法に付けられていること、海外と日本の商標権者が同一視できる関係にあること、品質に実質的な差がないことという3条件を満たせば、商標権の侵害にあたらないとしました。
ただし、この言葉を使って偽物を売る業者も実在するため、表記だけを信じるのは危険でしょう。

A: 公的な統計はありません。
並行輸入品のうち何%が偽物かという数字を公表している機関は存在しません。分かっているのは、2025年に税関が止めた知的財産侵害物品が31,760件あり、そのうち82.8%が中国からの荷物で、86.5%が国際郵便で届いていたということです。
確率を気にするより、仕入れルートをこの傾向から外していくほうが効果的でしょう。

A: 出品者によって変わります。
Amazonは販売する商品が正規品でなければならないと定め、偽造品の販売を厳しく禁止しました。違反した場合は出品権限の取り消しや売上金の支払い留保、在庫の廃棄といった措置が取られます。
とはいえ出品自体は各セラーが行うため、プラットフォームにあることが本物の保証にはなりません。

A: 現物なしでは断定できません。
近年の模倣品は精巧に作られているため、画像から判断することはできません。商品ページの写真が本物でも、届く現物が別というケースも起こり得ます。
できるのは、価格や事業者情報、支払方法、請求書の有無といった周辺条件から、危ない相手をふるい落とすことだけです。

A: まず販売を止めてください。
出品中なら取り下げ、FBA在庫なら販売を停止したうえで、仕入先に返品と返金を求めてやり取りの記録を残しておきましょう。クレジットカード決済であれば、カード会社に相談できる場合もあります。
真贋をめぐるトラブルの解決を図りたいときは、AACDの「ADRブランド110番」でも相談を受け付けています。

A: 大丈夫ではありません。
2022年10月1日に改正商標法、意匠法、関税法が施行され、海外の事業者から送られた模倣品は個人使用目的でも税関で没収されるようになりました。改正前のように、個人使用だと主張して受け取ることはできません。
国内の通販サイトで買った商品が海外から直送される場合も対象になるため、注意が必要でしょう。
参考:国民生活センター公式:「模倣品に関するトラブルにご注意!」


並行輸入品は、法律のうえでも税関の扱いのうえでも本物として認められている商材です。
それでも疑われ続けてきたのは、どこを通って届いたのかを誰も説明できないという一点にありました。
裏を返せば、仕入先を実在確認できる法人に絞り、請求書をPDFで残し、シリアルナンバーの画像を保管しておくだけで、この不透明さはほとんど解消できます。
代理店マージンが乗らない仕入れ値は、正規ルートでは決して手に入らない武器です。
証明できる状態で扱えるようになれば、並行輸入品は避けるべき商材ではなく、利益率で戦うための主力に変わっていくでしょう。





| 初心者おすすめ度 | ★★★★★ |
| 即金性 | ★★★☆☆ |
| ビジネス継続性 | ★★★★☆ |
| 仕入れに必要な資金目安 | 5万円~ |
| 目指せる利益額 | 30万円以上 |

中国から商品を輸入し、自分でページを作って販売するので、せどりのような即金性は少ないが、小資金からスタートでき初心者にも再現性が高く仕組み化できるのが中国輸入。
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