越境ECとは?市場規模やメリット・デメリット、おすすめのサイトをわかりやすく解説

助手
助手
「越境EC」って最近よく聞きますけど、海外に売るってことですよね?難しそうで……。

ふぉふぉ、仕組みさえ分かれば個人や中小でも十分勝機があるぞい。まずは全体像をつかむのじゃ。
博士
博士


越境ECとは、インターネットを通じて海外の消費者へ直接商品を販売する取引のことです。

日本の商品を求める声は大きく、中米だけでも年間4兆円以上が購入される急成長市場ですが、「送料」や「通関・税金」など国内ECにはない独自のハードルが存在するのも事実です。

そこでこの記事では、越境ECの基礎知識から、失敗しやすい落とし穴、おすすめの出店サイト10選、最新の関税ルールまでを完全網羅しました。

最後まで読めば、あなたが今すぐ取るべき「次の一手」が明確になります。まずは基本から確認していきましょう!


目次

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    博士

    越境ECとは?知っておきたい基礎知識

    助手
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    まず読み方から教えてください。「えっきょう」で合ってますか?

    合っておるぞい。ここを曖昧にしたまま始めると、後で必ず税金の話で詰まるでな。
    博士
    博士


    越境ECは「えっきょうイーシー」と読み、英語ではCross Border E-Commerceと表記します。

    この章では、国内ECや現地法人による海外展開と何が違うのかを整理し、自分の取り組みがどこに当てはまるのかを確認していきます。

    越境ECの意味と読み方

    越境ECとは、インターネットを通じて国境を越えて商品やサービスを売買する電子商取引のことです。

    「越境」は国境を越えること、「EC」はelectronic commerce(電子商取引)の略。つまり、日本にいながら海外の消費者へ直接商品を届ける販売形態を指します。

    経済産業省が毎年実施している「電子商取引に関する市場調査」でも、日本・米国・中国の3か国相互間の取引が越境ECとして推計されており、取引の中心はBtoC、つまり事業者から一般消費者への販売です。ただし、企業間のBtoBや個人同士のCtoCも含まれる点には注意が必要です。

    具体例を挙げると、以下はすべて越境ECにあたります。

    • eBayで日本の中古カメラを米国のバイヤーへ売る
    • Amazon.comに自社のOEM商品を出品する
    • BUYMAで欧州の顧客へ発送する

    一方、海外に法人を作って現地の倉庫から現地の顧客へ売る場合は、越境ECではなく現地ECと呼び分けます。商品がどこから出荷されるかが、両者を分ける基準になります。

    参考:経済産業省:「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

    国内ECとの決定的な違い

    国内ECとの違いは、言語や通貨ではなく「通関」を通るかどうかにあります。

    国内で売れた商品は梱包して発送すれば数日で相手に届くのが普通ですが、越境ECの荷物は日本の税関を出て相手国の税関を通ってから配達される点が根本的に異なります。

    この通関という工程が挟まることで、国内ECにはなかった要素が3つ増えます。

    • 関税・付加価値税の負担者が発生する
    • 税関告知書の提出が必要になる
    • 配達日数が読みにくくなる

    配達日数の前提も大きく変わり、翌日配送が当たり前の国内ECと同じ感覚で「発送しました」と伝えると、バイヤーから催促の連絡が来かねません。

    越境ECを始めたセラーが最初につまずくのは、英語力ではなく税関告知書の記載だという声も多く聞かれます。内容品の価格を実際の販売額と違う金額で書いてしまい、相手国の税関で止められて対応が長引いたケースもあるようです。

    現地法人による海外展開との使い分け

    「現地に法人を作らず」に海外へ売れること、これが越境ECの最大の特徴です。

    海外に販路を作る方法は、大きく越境ECと現地法人設立の2種類に分かれます。

    現地法人を設立する場合、その国の法人税や労働法に従わなければなりません。たとえば中国で自社サイトを立ち上げるなら、ICP(Internet Contents Provider)に関する手続きが必要になります。

    日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、外資がこのICPを取得するのはやや難しく、利用者を集めることも容易ではないとされています。

    一方、越境ECであれば日本の法人や個人事業主のまま販売を始められ、登記も現地スタッフの雇用も不要です。必要なのは、出品用のアカウントと発送手段だけ。

    ただし、現地モールへの出店には別のハードルがある点は押さえておきましょう。中国の天猫(Tmall)や京東(JD.COM)では、企業規模や保証金といった条件が設けられており、審査は決してゆるくありません。

    「現地法人が不要」であることと「誰でもどこにでも出せる」ことは、別の話だと考えておく必要があります。

    参考:ジェトロ:「中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出

    数字で見る越境ECの市場規模

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    伸びてるとは聞きますけど、実際どれくらいの規模なんですか?

    ふむ、感覚で語っても仕方ないでな。公的な推計をそのまま見るのが早いぞい。
    博士
    博士


    越境ECの市場規模は、経済産業省が毎年公表している調査で日本・米国・中国の3か国相互間について推計されています。

    この章では、日本のセラーが実際に海外からいくら受け取っているのかを起点に、今後の伸びしろまで確認します。

    中国・米国における日本事業者の売上規模

    日本の事業者が中国と米国の消費者から得た金額は、2024年に合計約4兆2,350億円にのぼります。

    内訳を見ると、販売先としての規模の差がはっきり見えてきます。

    購入した国の消費者 日本事業者からの購入額(2024年) 前年比
    中国 2兆6,372億円 8.5%増
    米国 1兆5,978億円 8.0%増

    中国が米国の約1.65倍という圧倒的な販売先であり、しかもどちらも8%台で伸びているため、片方に偏った成長ではないことがわかります。

    比較のため国内の数字も並べておくと、2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26.1兆円、前年比5.1%増でした。つまり越境ECは、国内EC全体よりも速いペースで伸びている計算になります。

    なお国内BtoC-ECのEC化率は9.8%にとどまり、物販の9割はいまだ実店舗で動いているという事実も、あわせて頭に入れておくと判断を誤りません。

    参考:経済産業省:「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

    世界市場は2034年までにどこまで伸びるか

    参入のタイミングを迷っているなら、世界市場の伸び率が判断材料になります。

    経済産業省の報告書では、世界の越境EC市場は2024年時点で1.01兆USドルと推計され、これが2034年には6.72兆USドルまで拡大すると見込まれています。10年でおよそ6.6倍という予測です。

    この数字が示すのは、単純に「まだ席が空いている」ということでしょう。国内ECのように成熟した市場では、既存プレイヤーからシェアを奪う戦い方しか選べませんが、市場そのものが数倍になる領域なら、平均的な立ち回りでも売上が伸びる余地が残ります。

    もちろん予測はあくまで予測で、そのまま実現する保証はどこにもありません。ただ少なくとも「もう手遅れ」という段階ではないことは、公的な推計からも読み取れます。

    中国が最大の販売先であり続ける理由

    中国が日本のセラーにとって最大の顧客である背景には、制度面の後押しがあります。

    中国は越境ECに対して独自の優遇税制を設けており、一定の条件を満たす取引については関税率が0%になり、増値税と消費税もそれぞれ法定額の70%まで軽減される仕組みです。一般貿易として輸入するより、越境ECの枠を使ったほうが税負担が軽くなる設計になっています。

    この優遇があるからこそ、中国の消費者は日本の商品を割安に買えるわけです。売れ筋も明確で、化粧品、食品、日用品といった日本製の消耗品が中心を占めます。訪日旅行で使って気に入った商品を、帰国後に越境ECでリピート購入する流れも定着してきました。

    ただし、この優遇には金額の上限が設けられています。上限を超えた場合の扱いや、輸入できる商品が限定される仕組みについては、後半で具体的な数字とともに解説します。

    越境ECに取り組む5つのメリット

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    市場が大きいのはわかりました。でも国内で売るのとどっちが得なんでしょう。

    ふぉふぉ、良い問いじゃ。越境ECには国内販売では絶対に手に入らん武器が5つあるぞい。
    助手
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    越境ECのメリットは「海外に売れる」という一言では説明しきれません。この章では、日本のセラーが実務上で受けられる利点を5つに分け、それぞれ何が有利になるのかを具体的に見ていきます。

    メリット①:商圏が国内の数十倍に広がる

    国内市場の頭打ちを感じているなら、まず商圏の分母そのものが変わることに注目してください。

    日本国内のBtoC-EC市場が26.1兆円であるのに対し、世界の越境EC市場は2024年時点で1.01兆USドル規模。同じ商品を同じ手間で出品しても、見てもらえる相手の数が桁違いになります。

    この差が特に効いてくるのは、ニッチな商材を扱っている場合です。国内では月に数個しか動かない専門的な商品でも、対象を世界に広げれば需要が積み上がっていくためです。

    たとえば絶版の書籍や生産終了した部品は、国内では買い手が限られがち。しかし世界には同じものを探している人が一定数存在し、その人たちは価格よりも「見つかること」を優先する傾向にあります。

    商圏の拡大は、単に人数が増えるという話にとどまりません。国内では成立しなかった商材が、初めて商売になるという変化そのものです。

    メリット②:「日本製」というだけで信頼が付く

    海外で戦うとき、日本のセラーは最初から加点された状態でスタートできます。

    中国の消費者による日本事業者からの購入額は、2兆6,372億円・前年比8.5%増でした。これは日本の商品が「安いから」選ばれているのではなく、品質やメーカーへの信頼が価格差を上回る動機になっているためです。

    海外で実際に売れている日本の商材を見ると、この傾向がはっきり表れています。中古車、熊野筆、抹茶といった日本特有の技術や産地に紐づく商品に加え、アパレルやアニメ関連といったポップカルチャー商品も根強い人気を保っています。

    いずれも「日本から届く」こと自体が価値になっているカテゴリと言えるでしょう。国内で同じ商品を売っても、この加点は発生しません。

    日本にいる時点で持っている優位性を、そのまま換金できるのが越境ECの強みです。

    メリット③:国内で値崩れした商品が高値で動く

    仕入れ値が下がりきった商品を抱えているなら、販売先を変えるだけで利益が戻ることがあります。

    国内のせどりでは、同じ商品に多数のセラーが群がって価格競争が起きがちで、新品でも中古でもモール内の最安値に引きずられる構造は変わりません。一方、海外では日本ほど供給が多くないため、同じ商品でも価格が維持されやすくなります。

    特に相性が良いのは、日本国内でしか流通していない商品です。限定版のフィギュア、国内メーカーの型番違いの家電、日本語版のゲームソフトなど、海外のバイヤーにとって代替品が存在しない商品は値下げ競争が起きにくいのが特徴です。

    ただし注意点もあります。海外で人気があるからといってまとめて仕入れると、そのまま在庫として残るリスクも抱えることになるためです。実際に、大量購入したガチャガチャの景品がまったく売れず在庫化してしまったという失敗談も見られました。

    「海外だから売れる」ではなく「その商品に海外の需要があるか」を先に確かめることが重要です。

    メリット④:円安がそのまま利益率に乗る

    為替を味方にできる点は、国内販売にはない越境EC固有の利点です。

    越境ECの売上は多くの場合ドルやユーロで入ってくるため、同じ100ドルの商品を売っても円安が進めば日本円での手取りは増える仕組みになっています。

    仕入れは日本円で行い、売上は外貨で受け取る——この構造そのものが、円安局面では自動的に利益率を押し上げます。もちろん逆のパターンも起こり得て、円高に振れれば同じドル建て価格でも手取りは減ってしまいます。

    だからこそ価格設定は一度決めて放置するのではなく、為替の水準に応じて見直す運用が欠かせません。なお、外貨を円に換える際には為替手数料もかかる点は見落とせないポイントです。この目減り分をどう見積もるかは、費用まわりを扱うパートで具体的な料率とともに解説します。

    メリット⑤:在庫を国内に置いたまま始められる

    海外に倉庫を持たなくても、越境ECは成立します

    現地法人の設立も海外倉庫の契約も、初期段階では必要ありません。

    日本の自宅や事務所に在庫を置いたまま、注文が入るたびに国際発送すれば取引は完結します。これが「参入障壁が低い」と言われる最大の理由でしょう。

    発送手段もすでに揃っています。日本郵便のEMSは全国の郵便局から差し出せますし、DHLやFedExといったクーリエも法人契約なしで利用可能です。海外モール側の物流サービスを使えば、注文処理の一部を任せることもできます。

    もうひとつの選択肢が海外転送サービスです。自社サイトに海外向けの購入導線を組み込み、国内の転送業者の倉庫まで送れば、そこから先は業者が国際発送を担当してくれます。

    セラー側は国内発送と同じ作業をするだけで済みます。初期投資を抑えたまま反応を見られるのは、資金力で劣る個人セラーにとって大きな利点です。

    越境ECでつまずく5つの落とし穴

    助手
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    良い話ばかり聞くと、逆に気になってきました。

    ふぉふぉふぉ、良い心がけじゃ。越境ECで足踏みする者は、だいたい同じ5か所でつまずくでな。
    博士
    博士


    越境ECの失敗は、語学力の不足ではなく計算と設計の甘さから生まれます。

    この章では、実際のセラーが経験したトラブルをもとに、事前に潰しておくべき5つの落とし穴を見ていきます。

    国際送料が利益を丸ごと飲み込む

    越境ECで最初に利益を削るのは、手数料ではなく送料です。

    日本郵便のEMS料金を見ると、その重さがよくわかります。

    重量 米国宛て 中国・韓国・台湾宛て
    500gまで 3,900円 1,450円
    1kgまで 5,300円 2,200円
    2kgまで 7,900円 3,400円

    同じ1kgの荷物でも、米国は中国の2.4倍かかる計算です。

    米国向けは金額が大きいぶん、価格設定を誤ると一瞬で赤字に転落しかねません。逆に中国・韓国・台湾は送料が軽いため、単価の低い商材でも成立しやすくなります。

    実務では「どの国に売るか」を送料から逆算するのが安全でしょう。低単価商品を米国に送る計画は、この時点で一度見直す価値があります。

    参考:日本郵便:「料金表(EMS:取り扱い国すべて)

    関税の負担者を決めず受取拒否される

    関税をどちらが払うかを決めないまま発送すると、荷物が戻ってきてしまいます

    越境ECで発生する関税は、基本的には購入者が負担するのが原則です。

    しかし購入者がその金額を知らされていない場合、配達時に請求されて受け取りを拒否することがあります。このとき損をするのはセラー側です。発送時に支払った送料は戻らず、加えて返送料まで請求されるケースもあります。商品も手元に戻らないまま、往復分の送料だけが消えることもあるようです。

    防ぐ方法は主に2つあります。商品ページで関税が購入者負担であることを事前に明記する方法と、関税込みの価格(DDP)で発送し、セラー側が先に払ってしまう方法です。

    後者は価格が上がりますが、受取拒否のリスクはほぼ消えます。単価の高い商品ほど、DDPを選ぶ価値は大きくなります。

    返品交渉が国内より長期化する

    海外の返品対応は、こちらに非がなくても長引きやすいものです。

    実際にあった事例を紹介します。

    あるセラーがスウェーデンのバイヤーにアニメ関連商品を3点販売したところ、1点が偽物だと指摘されました。一部返金で合意したものの、その後2点目も偽物だと主張されてしまいます。最終的にはバイヤーが現地の専門家の意見を持ち出し、全商品が偽物だと主張する展開に発展しました。

    返品用のラベルを送付したものの、今度は配送業者との関税の処理でやり取りが長期化し、最後はプラットフォーム側が介入して強制返金という形で決着したといいます。正規品を扱っていても、こうした事態は起こり得るということです。

    対策としては、商品の状態を撮影した画像を複数枚残し、シリアル番号や付属品まで記録しておくとよいでしょう。証拠が揃っていれば、少なくとも交渉の材料にはなります。

    追跡できない配送方法を選んでしまう

    配送方法の選択ミスは、初心者が最も早い段階で踏みやすい地雷です。

    越境ECを始めて2件目の発送で、オーストラリア宛ての荷物を日本郵便で送ったセラーがいました。しかし、その国・その送り方では追跡サービスが使えなかったといいます。商品が届いたかどうかを確認できず、トラブルが未解決のまま残ってしまったそうです。

    追跡番号がないと、バイヤーが「届いていない」と主張した場合にセラー側が反証する手段を持てません。プラットフォームの補償制度も、追跡情報がなければ適用されないことが一般的です。

    対策は単純で、追跡と補償が付く発送方法を最初から選ぶこと。EMSや国際小包、あるいはDHL・FedExといったクーリエであれば追跡が付きます。送料を数百円ケチった結果、商品代金を丸ごと失うのでは本末転倒です。

    知的財産クレームでアカウントを失う

    最も重い損失は、売上ではなくアカウントそのものの喪失です。

    海外のプラットフォームでは、特許権や商標権を持つ側からの申し立てが即座に効いてしまいます。

    実際に、いわゆるパテント・トロールからの申し立てを受けてメインアカウントを失ったセラーもいるようです。このリスクが厄介なのは、こちらが正規品を扱っていても発生し得る点にあります。日本国内では問題にならない商品でも、輸出先の国では第三者が権利を持っている場合があるためです。

    対策の第一歩は、扱う商品のブランドが海外でどう保護されているかを確認すること。そして申し立てを受けた際にすぐ対応できるよう、仕入れ先の領収書や納品書を保管しておくことです。正規ルートで仕入れた証拠は、アカウント復旧の交渉で最も強い材料になります。

    さらに、売上を1つのアカウントに集中させない設計も、現実的な防衛策のひとつと言えるでしょう。

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    越境ECの始め方4パターン

    助手
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    やることは見えてきました。で、具体的にどこから手を付ければいいんですか?

    ふむ、入り口は4つあるぞい。資金と手間のかけ方で、選ぶべき道が変わるでな。
    博士
    博士


    越境ECを始める方法は、大きく4つのパターンに分かれます。この章では、それぞれの仕組みと向き不向きを整理し、最後に自社に合う選び方の判断軸を示します。

    海外モールに出品する

    集客を自前で用意できないなら、海外モールへの出品が最短ルートです。

    eBayやAmazonの海外マーケットプレイスに商品を並べる方法で、すでに膨大な買い手が集まっている場所に商品を置けます。

    自社サイトのように「まず人を集める」工程が不要なため、商品にニーズさえあれば初月から売上が立つケースも珍しくありません。初期費用の小ささも見逃せない利点で、eBayの場合はアカウント登録時の初期費用がかからず、毎月250件までは出品手数料も無料です。在庫を並べるだけなら、実質的な持ち出しはほぼないと言ってよいでしょう。

    一方で、モール型には構造的な弱点もあります。同じ商品が横並びで比較されるため、価格が主な差別化要因になりやすいことです。知名度の高い商材を扱うなら、仕入れで価格優位を作れないと勝ち残るのは難しくなります。

    逆に言えば、他社より安く仕入れられるルートを持つセラーにとっては、最も相性の良い入り口です。

    参考:eBay:「料金について

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    自社の越境ECサイトを構築する

    価格ではなく商品の価値で勝負したいなら、自社サイトの構築が選択肢になります。

    Shopifyのようなサービスを使えば、多言語・多通貨に対応した越境ECサイトを短期間で立ち上げられます。

    料金は年払いの場合、Basicが月額3,650円、Growが月額10,100円。海外展開向けの機能が揃うAdvancedは月額44,000円で、地域ごとにストアをカスタマイズする機能や、外部配送業者のリアルタイム配送料の表示に対応しています。

    自社サイトの強みは、商品の背景やストーリーをじっくり伝えられる点にあります。モールでは価格しか見られない商品でも、独自ドメインなら品質やこだわりを訴求できるからです。オリジナル性の高い商品を扱う事業者ほど、この形式で成果を出しやすい傾向があります。

    ただし集客はすべて自前でまかなう必要があり、広告費やSEOへの投資が前提になるため、立ち上げから売上までの距離はモールより長くなりがちです。

    参考:Shopify:「料金プラン

    参考:Amazon出品サービス:「越境ECとは?日本企業や個人が海外販売を始めるメリット

    ▼Amazon出品者アカウントの登録方法は、こちらの記事もチェック!▼

    Amazon出品者アカウント登録の手順書【必要書類から手続き方法まで丸っと解説】
    個人で物販を行う場合、販売場所として最も一般的な「Amazon」。世界最大級のショッピングサイトでありながら、誰でも気軽…

    海外転送サービスを導入する

    すでに国内向けECサイトを持っているなら、最も手間の少ない入り口がこちらです。

    自社サイトに海外向けの購入機能を組み込み、海外からの注文は国内の転送業者が受け取って代わりに発送する仕組みになっています。

    セラー側の作業は、国内の転送業者の倉庫まで商品を送るだけ。国際発送も、税関告知書の作成も、現地対応もすべて業者側が担当してくれます。

    ECプラットフォームによっては、この機能が標準で組み込まれているものもあります。たとえばEBISUMARTは「WorldShopping BIZ for EBISUMART」を標準機能として実装済みです。英語対応の人員も、国際物流の知識も不要で始められるのが最大の利点でしょう。

    一方で、転送業者が間に入るぶん手数料が発生し、顧客との直接の関係も築きにくくなります。「海外に需要があるか試したい」という検証段階に向いた方法だと考えるとよさそうです。

    参考:EBISUMART:「越境ECの基礎から始め方まで分かるガイド

    現地に法人を設立する

    売上規模が大きくなり、現地での存在感を求める段階になると、法人設立が視野に入ってきます。

    現地に法人を作れば現地の倉庫から発送できるため配送日数が劇的に短くなり、現地通貨での決済にも対応できて、消費者から見た「海外から買う不安」も薄れるでしょう。

    その代わり、難易度は4パターンの中で最も高くなります。進出先の法人税や労働法に従う必要があり、現地スタッフの雇用も発生します。中国のように、自社サイト運営にICP関連の手続きが求められる国もあります。

    現地モールへの出店条件も、法人向けはより厳しく設定されがちです。天猫や京東では企業規模や保証金といった条件が設けられており、審査を通ること自体が課題になります。

    このパターンは「越境ECで手応えを得た後の次の一手」と位置づけるのが現実的でしょう。

    自社に合うパターンを見極める判断軸

    どのパターンを選ぶかは、扱う商品の性質でほぼ決まります

    判断軸はシンプルで、「その商品のニーズがすでに顕在化しているか」を見ることです。

    すでに指名検索されるような知名度があり、かつ仕入れで価格優位を作れるなら、モール型が適しています。同じ商品が並んでも、価格で勝てば選ばれるからです。

    逆に、価格より品質やサービスで評価される商品なら、独自ドメイン型が向いています。商品の価値をじっくり説明できる場でなければ、良さが伝わりきらないためです。

    判断に迷う場合は、モール内での類似商品の出品数を確認してみてください。出品数が多ければニーズは顕在化しており、少なければ説明が必要な商品だと判断できます。

    なお、越境ECに挑戦した企業の多くが成果を出せずに終わるという指摘もあります。「英語にすればなんとかなる」という発想のまま進めると、現地ユーザーへの説明が不足し、商品の魅力が伝わらないまま終わってしまうためです。

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    10サイトも見たら、どれか複数使いたくなってきました。

    ふむ、複数モールを掛け持ちするなら在庫の一元管理は必須じゃぞい。
    博士
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    複数のモールに同じ商品を出品すると、在庫の売り越しが起きやすくなります。

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    越境ECにおすすめのサイト10選

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    モールと言われても、名前を聞いたことがあるのはAmazonとeBayくらいで……。

    ふぉふぉ、それで十分じゃよ。ただし売る国と商材で最適解は変わるでな、一通り並べておこう。
    博士
    博士


    越境ECの販路は、対象エリアと得意な商材によって明確に住み分けがあります。

    この章では代表的な10サイトを取り上げ、それぞれどのセラーに向いているのかを整理します。

    おすすめ①:個人セラーの定番「eBay」

    個人セラーが最初に選ぶ販路として、最も実績が積み上がっているのがeBayです。

    米国発のマーケットプレイスで、個人や中小事業者による国際的な売買が活発に行われています。

    日本のセラーにとっての利点は、費用構造の入りやすさにあります。アカウント登録時の初期費用はゼロで、毎月250件までは出品手数料が無料。売れたときにかかる落札手数料は、主なカテゴリで13.25%〜15%に1取引あたり0.40ドルが加算される仕組みで、これに加えて日本在住のセラーには1.35%の海外決済手数料もかかります。

    在庫を並べるだけなら費用が発生しないため、テスト販売との相性が非常に良い販路と言えるでしょう。中古カメラ、フィギュア、楽器、絶版品といった一点物に強く、日本のせどりセラーの実績も豊富です。

    参考:eBay:「料金について

    おすすめ②:出品済み商品をそのまま出せる「Amazon海外マーケットプレイス」

    すでにAmazon.co.jpで販売しているなら、最も移行コストが低いのがAmazon海外マーケットプレイスです。

    Amazonは世界各国でマーケットプレイスを展開しており、1つのセラーアカウントで複数国に出品できます。

    アカウントを統合した場合、月間登録料は出品中の各国の合計額か、月額39.99ドル相当のいずれか低いほうが適用される仕組みで、国ごとに別々の月額費用を払う必要がありません。

    もうひとつの強みが物流面にあります。FBA(フルフィルメント by Amazon)を使えば、倉庫保管から出荷、返品対応までを任せられ、プライムのアイコンが付くことで同条件の競合より優先して選ばれやすくなる効果も期待できます。

    新品のメーカー品やOEM商品を継続的に供給できる事業者に向いた販路です。一点物の中古を大量に扱うスタイルとは、あまり相性が良くありません。

    参考:Amazon出品サービス:「越境ECとは?日本企業や個人が海外販売を始めるメリット

    おすすめ③:ハンドメイド特化の「Etsy」

    ハンドメイドや一点物の作品を扱うなら、Etsyが最有力の候補になります。

    Etsyは米国発のマーケットプレイスで、手作り品、ヴィンテージ品、クラフト素材に特化しているのが特徴です。日本のZOZOTOWNやCreemaに近い性格のサイトだとイメージするとわかりやすいでしょう。

    出品には商品1個あたり0.20米ドルの出品料がかかり、売れた場合は表示価格に送料を加えた金額に対して6.5%の取引手数料が発生します。決済を担うEtsyペイメントを利用する場合は、これに入金手数料が加わる仕組みです。

    大量生産品を安く売る場ではないため、価格競争に巻き込まれにくいのも利点です。日本の作家が手がけた陶器、和紙製品、着物のリメイク品といった商材は、この場では「量産できないこと」そのものが価値になります。

    参考:Etsy:「手数料と支払いに関するポリシー

    おすすめ④:東南アジア圏に強い「Shopee」

    東南アジア市場を狙うなら、この地域で最大級の利用者を抱えるのがShopeeです。

    シンガポール発のマーケットプレイスで、台湾、マレーシア、フィリピン、タイなどに展開中です。

    店舗維持費用や出品にかかる手数料は一切かからず、月額使用料などの固定費も発生しません。かかるのは商品が売れたときの販売手数料のみで、新規出店から90日間は割引キャンペーンにより1.75%(VAT抜き)に抑えられています。

    送料の観点でも相性の良い販路と言えます。EMSの料金表で見ると、アジア向け(中国・韓国・台湾を除く)は500gまで1,900円、1kgまで3,150円。米国向けの1kg 5,300円と比べると、同じ重さで2,000円以上の差が出ます。送料が軽いぶん、単価の低い商材でも利益を確保しやすくなるでしょう。

    日本の日用品や雑貨、コスメといった中価格帯の商品を数多く回すスタイルに向いています。

    参考:Shopee Japan:「各種手数料(コミッション)について

    おすすめ⑤:国内感覚で運用できる「Qoo10」

    日本と韓国・シンガポールをつなぐ販路として機能するのがQoo10です。

    日本国内でも「Qoo10」としてサービスを展開しているため、管理画面や運用の感覚が国内モールに近いのが利点になります。

    初期費用と月額固定費は無料で、かかるのは販売額に応じた手数料のみ。手数料率はカテゴリーごとに異なり、コスメ・美容やレディースファッションは10%、日用品や食品は6〜10%と、決済手数料込みで設定されています。

    英語での運用に不安があるセラーにとって、心理的なハードルが最も低い選択肢のひとつと言えるでしょう。コスメやファッション雑貨の流通が活発で、日本製の化粧品との相性が良い販路です。

    参考:Qoo10大学:「費用について

    おすすめ⑥:完全日本語対応の「BUYMA」

    ブランド品やファッションを扱うなら、BUYMAが独自の立ち位置を持っています。

    BUYMAは日本発のサービスでありながら、世界各国の出品者と購入者をつなぐ構造になっているのが特徴です。

    日本のセラーから見ると、日本国内で入手できる商品を海外の会員へ販売する導線として使えます。管理画面も問い合わせ対応もすべて日本語で完結する点は、他の海外モールにない強みでしょう。

    在庫を持たずに受注後に仕入れる運用が認められている点も、資金の少ないセラーには大きな利点になります。

    おすすめ⑦:中国市場の本丸「天猫国際(Tmall Global)」

    中国市場に本格参入するなら、避けて通れないのが天猫国際です。

    中国最大級のECプラットフォームである天猫(Tmall)の越境EC版で、中国国内に法人を持たない事業者でも出店できます。日本の楽天市場に相当する規模のモールだとイメージするとつかみやすいでしょう。

    ただし出店のハードルは高く設定されています。企業規模や保証金といった条件が設けられており、完全にプラットフォーム側が主導する売り手市場です。個人セラーが気軽に出せる場所ではありません。

    一方で、中国消費者による日本事業者からの購入額は2兆6,372億円と最大規模を誇ります。安定した供給力を持つメーカーやブランドにとっては、投資に見合う市場だと言えるでしょう。

    参考:ジェトロ:「中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出

    おすすめ⑧:国内取引のまま海外に届く「メルカリ」

    国内フリマの延長で越境ECを試したいなら、メルカリの海外取引サポートが入り口になります。

    これは出品者自身が海外へ発送する仕組みではありません。メルカリ、または公式連携した越境EC事業者が海外の購入者から注文を受け、出品者は日本国内の指定住所へ商品を送るだけで取引が完結する仕組みです。

    海外の購入者とのやり取りも、輸出や通関の手続きも、すべて事業者側が担当します。出品者側は、通常の国内取引と同じ梱包・発送作業をするだけで済みます。

    新しく別のアカウントを作る必要がなく、出品者に「公式連携」マークが付いた事業者から購入依頼が入ることで取引が始まる仕組みです。英語対応も国際発送の知識も一切不要なぶん、越境ECというより「国内取引の延長で海外需要を拾える機能」と捉えるのが実態に近いでしょう。

    参考:メルカリ:「海外取引サポート

    おすすめ⑨:自社ブランド展開の王道「Shopify」

    自社ブランドを世界に展開したいなら、Shopifyが標準的な選択肢になります。

    Shopifyは多言語・多通貨に対応した越境ECサイトを、専門知識なしで構築できるサービスです。

    料金プランは年払いで以下のように分かれます。

    プラン 月額 カード手数料
    Basic 3,650円 3.55%〜
    Grow 10,100円 3.4%〜
    Advanced 44,000円 3.25%〜
    Plus 368,000円〜 2.9%〜

    月額と決済手数料はトレードオフの関係にあり、売上が小さいうちはBasicで月額を抑え、決済額が膨らんできたら上位プランに移るほうが総額は下がります。

    海外展開向けの機能が揃うのはAdvancedからで、地域ごとのストアカスタマイズに対応しています。

    参考:Shopify:「料金プラン

    おすすめ⑩:手軽に始める自社ショップ「BASE」

    初期費用をかけずに自社ショップを持ちたいなら、BASEが最も手軽な選択肢です。

    BASEは日本発のネットショップ作成サービスで、初期費用も月額費用も0円から始められます。

    海外販売には「かんたん海外販売」という機能が使え、これも月額費用は0円。海外で商品が売れたときだけ、通常の決済手数料・サービス利用料に加えて、注文金額(送料込み)の5%が「かんたん海外販売利用料」として差し引かれる仕組みです。

    この機能の特徴は、出品者側の作業が国内発送だけで完結する点にあります。海外専用のショッピングカート表示、海外販売できる商品の自動判定、送料の自動計算、そして実際の海外発送までを提携の代行事業者がまるごと担当してくれます。

    管理画面が日本語で、サポートも日本語で受けられる点は、初めて自社サイトを持つセラーにとって安心材料になるでしょう。英語対応や国際物流の知識がなくても、国内向けショップを開設する感覚で越境ECに参入できます。

    参考:BASE:「かんたん海外販売

    越境ECにかかる費用の内訳

    助手
    助手
    モールの手数料はわかりました。でも結局、手元にいくら残るのかが一番知りたいです。

    ふぉふぉ、そこじゃな。送料・手数料・為替、この3つを先に引いてから利益を考えるのが鉄則じゃぞい。
    博士
    博士


    越境ECの利益は「販売価格−仕入れ値」だけでは計算できません。

    この章では、送料・決済コスト・為替の目減りを合わせた実質的な手取りの考え方を整理します。

    送料:宛先で2〜3倍変わる最大コスト

    送料は、越境ECの費用の中で最も大きな変動要因です。

    日本郵便のEMS料金を宛先別に見ると、次のようになります。

    重量 米国宛て 中国・韓国・台湾宛て アジア(上記以外)
    500gまで 3,900円 1,450円 1,900円
    1kgまで 5,300円 2,200円 3,150円
    2kgまで 7,900円 3,400円 5,000円

    宛先ひとつで送料が2〜3倍も変わり、同じ商品を同じ価格で売っても米国向けと中国向けでは残る利益がまったく違ってきます。

    送料を利益計算に組み込む際は、「販売価格に送料を含めるか」も先に決めておく必要があるでしょう。送料込み表示にすればクリック率は上がりますが、実際の送料が想定より重くなった場合に利益を圧迫します。逆に送料別表示にすれば正確に転嫁できる反面、購入直前の離脱率は上がりやすくなります。

    低単価・軽量の商品を数多く売るなら送料込み、高単価・重量物を扱うなら送料別。この切り分けが、価格設計の基本になります。

    参考:日本郵便:「料金表(EMS:取り扱い国すべて)

    決済手数料:規模が大きいほど下がる変動費

    販売手数料だけを見て利益を計算すると、実際の手取りとズレが生じます

    eBayの場合、落札手数料13.25%〜15%に加えて海外決済手数料1.35%が別途かかり、表向きの手数料率にこの1.35%を上乗せして、初めて正確な数字になります。

    この決済手数料には、売上規模に応じた優遇があります。

    四半期の売上(累計) 適用される海外決済手数料率
    〜3,000ドル 1.35%
    3,000ドル超〜7,000ドル 1.20%
    7,000ドル超〜25,000ドル 0.95%
    25,000ドル超〜100,000ドル 0.70%
    100,000ドル超 0.40%

    販売規模が大きくなるほど決済コストの比率が下がる設計になっており、小口セラーがこの逓減の恩恵を受けるには時間がかかりますが、将来的な規模拡大を見込むなら初期の手数料の高さだけで撤退を判断するのは早計でしょう。

    Shopifyのカード手数料も同様の構造で、Basicの3.55%からPlusの2.9%まで、プランが上がるほど料率は下がります。決済手数料は「一律にかかる固定費」ではなく、「規模で変わる変動費」だと捉えておくとよさそうです。

    参考:eBay:「料金について

    利益が出ない価格帯の切り分け方

    送料と手数料を積み上げると、越境ECには「儲からない価格帯」がはっきり存在することがわかります。

    たとえば500円の雑貨を米国のバイヤーに1個売る場合を考えてみましょう。

    EMSの送料だけで500gまで3,900円かかり、商品代金をはるかに超えてしまいます。送料込みで販売価格を上げれば売れにくくなり、送料別にすれば購入者が離脱する——いずれにしても、この価格帯・この重量・この宛先の組み合わせは単品販売に向きません。

    対策は主に2つ考えられます。同じ宛先へのまとめ買いを促し、1件あたりの送料負担を薄める設計にする方法。そして、低単価・軽量の商品は送料が軽い近隣国(中国・韓国・台湾・アジア)向けに絞る方法です。

    高単価の商品ほど、送料や手数料が占める割合は相対的に小さくなります。商品ラインナップを組む段階でこのふるい分けをやっておくと、後から赤字商品を洗い出す手間が省けます。

    越境ECの税金と通関を正しく理解する

    助手
    助手
    税金の話は正直、一番わかりにくいです……。

    ふぉふぉ、無理もないぞい。じゃが仕組みはシンプルじゃ。輸出は免税、その代わり証明書類が要る。これだけ覚えれば十分じゃよ。
    博士
    博士


    越境ECの税務は「消費税がかからない」で終わらせず、証明の仕組みまで理解しておく必要があります。この章では、輸出免税の要件と関税の負担設計を具体的に整理します。

    消費税は輸出免税でかからない

    海外への商品の販売には、消費税がかかりません

    国内の商品を輸出する取引は、消費税法上「輸出免税」の対象とされているためです。

    輸出免税の対象になる取引には、国内の商品を海外へ輸出する取引に加えて、外国貨物の譲渡や国際輸送、国際通信なども含まれます。これは非課税ではなく、税率0%の課税取引という扱いになる点がポイントです。

    この違いにより、仕入れ時に払った消費税分は確定申告を通じて還付を受けられます。国内だけで販売するセラーにはない、越境EC特有のメリットと言えるでしょう。

    ただし免税を受けるには、単に「海外に売った」と申告するだけでは不十分で、輸出した事実を客観的に証明する書類が求められます。その具体的な要件は、次の項目で詳しく見ていきます。

    参考:国税庁:「No.6551 輸出取引の免税

    免税に必要な証明書類と保存期間

    輸出免税は、証明書類を保存していなければ適用が認められません

    必要な書類は、取引の金額と方法によって変わります。

    1つの取引の輸出取引額が20万円を超える場合は、税関長が発行する輸出許可書などの保存が必要です。一方、EMSや国際小包を使った20万円以下の輸出については、日本郵便が発行する引受証明書と発送伝票の控えの保存で足ります。個人セラーが扱う商品の多くは20万円以下に収まるため、実務上はEMSの引受証明書の保管が中心になるでしょう。

    これらの書類は、確定申告期限の翌日から7年間の保存が義務付けられています。発送のたびに証明書類を紙やデータで残しておく習慣が、税務調査の際の防御になります。

    さらに、令和8年度税制改正の大綱により、現金などで代金を受領した輸出取引については、令和8年10月1日以後、輸入国側の輸入許可書に相当する書類の保存が追加要件として求められることになりました。対面決済に近い形で海外へ商品を渡すケースがある事業者は、この改正の適用時期を確認しておく必要があります。

    参考:国税庁:「No.6551 輸出取引の免税

    関税を誰が負担するか設計する

    関税は、輸入する国の制度に従って、原則として購入者が負担します

    ただし「誰が払うか」を事前に決めておかないと、受取拒否のトラブルにつながりかねません。

    選択肢は大きく2つに分かれます。

    • DDU(関税・消費税を購入者が現地で負担):商品価格を安く見せられる一方、購入者の負担感でトラブルが起きやすい
    • DDP(関税・消費税をセラーが事前に負担):商品価格は上がるが、購入者にとって「届いたら追加料金」がなく安心感がある

    高単価の商品や、初めて取引する国向けにはDDPを選ぶほうが安全でしょう。安価な商品を数多くさばくビジネスモデルであれば、DDUで購入者負担にしたほうが価格競争力を保ちやすくなります。

    自社の商材の単価と、狙う国の関税の高さを踏まえて、どちらか一方に統一しておくことが重要です。

    20万円を超えたら輸出申告が必要になる

    高額な商品を扱うなら、20万円という金額を境界線として意識しておく必要があります。

    1回の輸出取引額が20万円を超える場合、税関へ輸出申告を行い、輸出許可書の交付を受けなければなりません。これは輸出免税の証明書類としても使う、重要な書類です。

    一方、20万円以下であればEMSなどの引受証明書で代用できるため、通常の郵便局窓口での手続きだけで完結します。骨董品やブランド品、高額な楽器や電子機器を扱うセラーは、この20万円のラインを意識して価格設定や梱包単位を考える必要があるでしょう。

    たとえば25万円の商品を1点で送るか、13万円ずつ2回に分けて送るかによって、必要な手続きが変わってきます。

    国別に変わる越境ECの最新規制

    助手
    助手
    関税のルールって、国によって全然違うんですよね?

    ふぉふぉ、それも当然じゃ。しかも今、米国とEUで大きな変更があったばかりでな。ここは特に新しい情報を押さえておくとよいぞい。
    博士
    博士


    越境ECの規制は年に何度も変わり、特に2025年から2026年にかけて主要国で大きな制度変更が続いています。この章では、米国・EU・英国・中国それぞれの最新ルールを整理します。

    米国のデミニミス廃止で変わった発送条件

    米国向け発送の運用は、2025年8月の制度変更を境に大きく変わりました

    米国はこれまで、800米ドル以下の輸入貨物を関税・輸入手続きなしで受け入れる「デミニミス(少額免税)」制度を運用してきましたが、2025年8月29日にこの制度が原則廃止されました。これを受けて日本郵便は、米国および米国海外領土宛ての郵便物の引き受けを一時停止しています。

    その後、段階的に引き受けが再開されており、2026年4月14日からは指定された郵便局に限り米国宛て郵便物の引き受けが再開、さらに2026年7月24日からは関税を事前に支払う対象となる貨物の上限額が800米ドルから2,500米ドルに引き上げられました。

    現在の運用では、関税を事前に納付した上でDDP(関税込み)ラベルを使う発送が基本になっており、対応できる郵便局も限定されています。なお、100米ドル以下の個人間の贈答品については、引き続き免税の扱いが残っている点も覚えておきましょう。

    米国向けに発送を予定しているセラーは、現時点でどの郵便局が対応しているか、最新の告知を都度確認する必要があります。

    参考:日本郵便:「(続報3)米国宛て郵便物の引受再開に関するお知らせ

    EUで2026年7月に始まった3ユーロ関税

    EU向けの少額発送にも、2026年に入って新しいコストが加わりました

    EUはこれまで150ユーロ未満の輸入小包について関税を免除してきましたが、2026年7月1日からはこの150ユーロ未満の小包に対して、品目ごとに一律3ユーロの関税を課す制度が始まっています。これは商品の価格に関わらず、1品目につき定額でかかる点が特徴です。

    つまり、10ユーロの雑貨1点でも100ユーロのアパレル1点でも、追加でかかる関税は同じ3ユーロということになります。この制度は、単価の低い商品を複数まとめて発送するスタイルのセラーに特に影響します。1個あたりの利益率が薄い商品を扱っている場合、3ユーロという定額コストの比率が相対的に大きくなるためです。

    対象となるのは主にIOSS(輸入ワンストップショップ)に登録している事業者の取引で、消費税の扱いと合わせて事前の価格設計に組み込んでおく必要があります。

    参考:ジェトロ:「EU、150ユーロ未満の少額小包に3ユーロの関税を課すことで合意、2026年7月1日から

    英国のVATは135ポンドで扱いが変わる

    英国向けの取引では、150ユーロではなく135ポンドという別の基準額を覚えておく必要があります。

    英国はEUを離脱しているため、VAT(付加価値税)の制度もEUとは別に運用されているためです。

    課税価格が135ポンド以下の商品を輸入する場合、販売時点でVATを徴収する仕組みが取られており、セラー自身が英国のVAT登録を行い、販売価格に含める形でVATを徴収・納付しなければなりません。一方、135ポンドを超える商品については、通常の輸入時課税、つまり商品が英国に到着した時点で購入者が関税とVATを負担する形になります。

    EUのIOSSと似た仕組みですが、金額の基準も登録先の制度も別物である点には注意が必要です。なお、EUではIOSSを利用していない事業者に対する代理徴収の仕組みが、2028年7月に廃止される予定もアナウンスされています。

    英国・EUのどちらを主戦場にするかによって必要な登録手続きが変わってくるため、両者を混同しないようにしましょう。

    参考:ジェトロ:「越境EC販売におけるVAT:EU・英国向け輸出

    中国は優遇税制の上限額に注意する

    中国向けは、税率の低さと引き換えに、金額の上限管理が必須になります。

    中国の越境EC小売輸入における優遇税制は、1回あたりの取引額5,000元以下、かつ個人の年間累計26,000元以下という条件で適用され、この範囲内であれば関税率は0%、増値税と消費税もそれぞれ法定税額の70%に軽減されます。年間の上限に達した場合は、それ以降の取引について一般貿易の輸入と同じ税率が適用されます。

    さらに、優遇税制を利用するには対象品目が「越境電子商取引小売輸入商品リスト」、いわゆるポジティブリストに掲載されている必要があり、リストに載っていない商品はそもそも優遇税制の対象になりません。化粧品や食品、日用品といった売れ筋カテゴリの多くはリストに含まれていますが、品目によっては対象外のものもあるため、事前の確認は欠かせないでしょう。

    継続的に中国向け販売を行うなら、購入者側の年間累計額を意識した販売設計と、扱う商品がポジティブリストに含まれているかの2点を、仕入れ段階からチェックしておく必要があります。

    参考:ジェトロ:「中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出

    越境ECによくある質問と回答まとめ

     

    Q: 越境ECは個人でも始められますか?

    A: はい、始められます。

    eBayやメルカリの海外取引サポートを使えば、法人登記も現地の許認可も不要です。初期費用がかからないeBayであれば、在庫を並べるだけで始められます。ただし、確定申告や輸出免税の証明書類の管理は、個人であっても事業者と同様に必要になる点は押さえておいてください。

    Q: 英語が話せなくても運営できますか?

    A: 運営自体は可能です。

    BUYMAやQoo10のように、管理画面と問い合わせ対応が日本語で完結するサービスもあります。商品説明の翻訳ツールや、プラットフォーム側の自動翻訳機能に頼る運用も一般的です。ただし、返品交渉など個別のやり取りが発生した際に、翻訳ツール任せでは意図が正確に伝わらないこともある点は想定しておきましょう。

    Q: 資格や許可は必要ですか?

    A: 基本的には不要です。

    一般的な商品を扱う限り、越境ECを始めるための特別な資格や許可は必要ありません。ただし、1回の輸出取引額が20万円を超える場合は、税関への輸出申告と輸出許可書の取得が必要になります。また、医薬品や食品、動植物など、品目によっては別途の許可が必要な場合があるため、扱う商品のジャンルによって個別に確認してください。

    Q: 最初はどの国を狙うべきですか?

    A: 商品の単価と重量から逆算するのが安全です。

    低単価・軽量の商品であれば、送料が安く優遇税制もある中国・韓国・台湾・アジア地域が始めやすい市場になります。高単価の商品であれば、送料の比率が相対的に下がるため、市場規模の大きい米国も選択肢に入ってくるでしょう。米国は制度変更で発送条件が複雑になっているため、まずは近隣国から着手し、運用に慣れてから米国向けに広げる進め方も現実的です。

    Q: 商品が届かなかった場合はどうなりますか?

    A: 追跡番号の有無で結果が変わります

    EMSや国際小包など追跡が付く発送方法であれば、配送状況を確認しながら対応できます。一方、追跡が使えない配送方法を選んでいた場合、実際にオーストラリア宛ての荷物が届いたかどうか確認できず、トラブルが未解決のまま残った事例もありました。プラットフォームの補償制度も追跡情報がなければ適用されないことが一般的なため、発送方法の選択が事実上の保険になります。

    Q: 越境ECと輸出代行の違いは何ですか?

    A: 主体がどちらにあるかが違います。

    越境ECは、セラー自身が海外向けのアカウントを持ち、価格設定から発送、顧客対応まで自分で行う形態です。一方、輸出代行やコンサルティングサービスは、これらの業務の一部または全部を第三者に委託する形になります。手数料はかかりますが、英語対応や現地の規制対応を任せられる分、越境ECの経験がない段階での参入障壁を下げる選択肢にもなるでしょう。

    越境ECで世界の顧客を掴もう!

    助手
    助手
    送料も手数料も税金も、ちゃんと数字で追えるものばかりでしたね。

    ふぉふぉふぉ、そうじゃ。先に数字を押さえた者から、着実に売上を積んでいけるぞい。
    博士
    博士



    越境ECは、国内在庫と既存のノウハウのまま、今日から挑戦できる販路です。

    送料・手数料・関税・消費税、それぞれの数字を先に押さえておけば、あとは扱う商品に合ったモールを選ぶだけ。

    制度は今も動き続けていますが、最新の情報を追いながら、自分の商材に合った一歩を踏み出してみてください。

    【2025年最新】稼げる物販手法はコレ!

    助手
    助手
    さっそく物販にトライしたいんですが、どんなやり方でやればいいのかわからなくて…
    そう言うと思っておすすめの手法と無料講座を用意しておいたじょ。
    博士
    博士
    助手
    助手
    博士、サイコーです!

    メルカリ卸物販

    博士
    博士
    メルカリで商品を売る手法じゃが、これは“仕入れもリサーチも代行”してもらえる、初心者向けの卸物販スタイルなんじゃ。
    不要品販売から次のステップに進みたい人にもぴったりじゃな。

    初心者おすすめ度 ★★★★★
    即金性 ★★★☆☆
    ビジネス継続性 ★★★★☆
    仕入れに必要な資金目安 3万円~
    目指せる利益額 10万円以上

    在宅で完結!届いた商品をメルカリに出すだけでOKなんですね!
    助手
    助手

    メルカリ卸物販は、初心者がつまずきやすい「仕入れリサーチ」をプロに任せられるのが最大の特徴。商品はすでに利益が出るよう選定されており、自宅に届いたらそのままメルカリで販売可能です。

    また、扱う商材はブランド品やアパレル系が中心で、1商品あたりの利益幅が大きいため、少ない出品でもしっかり利益を出すことができます。

    博士
    博士
    仕入れに時間をかけられない人や、初めての物販で不安な人にはうってつけじゃな。
    わしとしては「まず経験してみたい!」という気持ちがある人には、ぜひ試してみてほしい講座じゃ。

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